ナグノーマの世界
ナグノーマとは、万翔葉が創造する”此処ではない世界”。どこか別の場所に存在していて、一定の条件がそろわない限り行くことができない世界である。
ナグノーマは主に縦構造による二層の世界で構築されており、上層部はリアン(Rian)、下層部はシレント(Silent)と呼ばれている。二つの世界の中央には巨大な樹木、マハ(maja)が生えており、ナグノーマに住まう人々の殆どがこのマハの木を生命の樹として崇めている。リアンとシレントの中間部(事実上はリアン内)には”御喋り苑”と呼ばれる花園が広がっている。二つの世界に住まう住人達は、一様に夕暮れ時に目覚め、朝焼けの頃に眠りにつくため、ナグノーマは夜の世界ともいうことができる。
-リアン(Rian)-
星降る世界。沢山の星が生まれては死んでいく。星人と呼ばれる、星型の頭部を持つ者たちがマハの枝葉の中に住居を構えて暮らしており、その他の者たちは雲の内外で暮らしている。リアンは一度栄えた文明が衰退した世界で、当時の建造物などが現在も多く残っているが、その殆どが植物に侵食されている。
-御喋り苑-
リアン上部に住む星人が死ぬと、頭部だけ御喋り苑へと落ち、その落ちた頭部が植物となって生えてくる。ここで育つ植物たちには人格が芽生えるため、よく喋る。星人の頃の記憶だったり、昨日見た夢の記憶だったりが殆どだが、驚くべきことにその夢の記憶は今現在リアンやシレントで暮らす者たちの夢の記憶とリンクしている。
-シレント(Silent)-
マハの下方部にあるイド(Ido)の塔を中心にして広がる、雨と霧(スモッグ)の世界。アルビオンという雪の降る季節を除き、一年中ほぼ雨が降り続いている。そのため地下水路が発達し地下街等も存在している。交通機関が蒸気機械類であるため、燃料により発生するガスの霧が外気を汚している。屋内で沢山の植物を育てる家が多く、温室のような部屋が多い。温暖なリアンとは異なり、年中気温が低く肌寒い。
アルビオンの季節のおよそ一ヶ月間、仮面着用必須の盛大な祭りが開かれる。メソナ(Mesona)と呼ばれるこの祭りは、死者が蘇る時期と考えられ、死者と生者を同化させるために仮面をかぶる習わしがある。