Fragmented World
ナグノーマとは、万翔葉が創造する「此処ではない世界」。
それは、どこか別の場所に存在していて、一定の条件がそろわない限り
行くことのできない世界である。
描く作品はすべて、
この世界のどこかを切り取った断片である。
ナグノーマは、
縦に重なる二つの層から成り立っている。
上層は リアン(Rian)、
下層は シレント(Silent)。
その中央には、
巨大な樹木 マハ(maja) が生えている。
マハは、ナグノーマに生きる人々にとって
生命の樹として崇められている。
世界は、この樹を中心に
静かに循環している。


星は、生まれては死んでいく。
星型の頭部をもつ者たちは
マハの枝葉に住まいをつくり、
かつて栄えた文明の残骸と共に暮らしている。
星人が死ぬと、その頭部は花園へと落ち、
植物として芽吹く。
それらは人格をもち、昨日の夢や、遠い記憶を語る。
その夢は、
今も誰かの夢とつながっている。
マハの下方に広がる、
冷たく、湿った層。
蒸気機械と地下水路、温室のような部屋。
雨は、ほとんど止むことがない。
アルビオンの季節、仮面をつけた祭り
メソナ(Mesona) が開かれる。
死者と生者は、一時的に境界を失う。
ナグノーマのすべてが作品の中で語られることはない。
この世界は、絵ごとに、断片的に現れる。